2万人以上が損をする?白内障の多焦点眼内レンズ手術に「先進医療特約」が使えなくなったぞ

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やあ、うさたんだ。今日はちょっと小難しい話をするが、いつも通りわかりやすい記事を心がけるので付いてきてくれな。

話題はズバリ、「多焦点眼内レンズ(多焦点レンズ)」が「先進医療」から「選定療養」に変更されたけれど、それって患者だけが損するやつだよね?だ。

先進医療とは

そもそも先進医療とはなんぞや?ということなんだけれども、ここではさらっと知っておくだけでいい。詳細は用語解説のほうで書くので、興味あったら見てくれ(ウサギでもわかる「先進医療」とは)。

先進医療とは、みんなが保険で受けられるノーマル医療にするかどうかを「検討中」の医療技術のことだ。大学病院などの高度な医療機関で研究・開発されており、安全性や治療効果には一定の評価があるものの、「保険適用するにはもうちょっと実績が欲しいよね」みたいな立ち位置にいる。

だから、先進的ではあるが、優れているとは限らない。

そして、保険が使えないということは、そこにかかる技術費は全額自己負担を意味している。厚生労働省「先進医療の概要について」の解説図を見てくれ。

出典:厚生労働省「先進医療の概要について

診察や検査、注射など、病院に行くと普通に受ける治療は保険適用されるが、先進医療部分だけは全額自己負担になっている。この例では、保険適用分の56万円を引いた24万円と、先進医療部分の20万円で、44万円の請求になるわけだ。

多焦点眼内レンズ手術は実施件数ダントツ1位の先進医療

先進医療のしくみがわかったところで、多焦点眼内レンズ(多焦点レンズ)についてもちょこっと解説しておきたい。

多焦点眼内レンズは、白内障の再建手術に使われるレンズの一つで、平たく言えば「遠近両用レンズ」だ。遠くと近くの両方に同時にピントが合うという優れた一面があり、欠点もあるものの、満足度は概ね高いと聞いている(白内障手術をめぐる現在の環境 / 高橋 浩)。

実施件数は、年間あたり2万3,859件でトップ。2位の陽子線治療が1,663件だから、その差は歴然だろう。つまり、先進医療のなかではめちゃくちゃ需要があるのである。

先進医療給付金が出まへん

その需要ある医療技術が、標準医療ではなく「選定療養」に移動した。選定療養とは入院したときの個室代みたいなもので、患者の快適性や利便性に関する療養のこと。当然、公的保険は使えない。

と、い・う・こ・と・は・だ。今までは先進医療に区分されていたから、民間保険の先進医療特約を付けておけば楽勝セーフだったものが、今後はビタ一文出ないことになる。

そこで、この手術のお値段を見てみると、1件あたりの費用は65万6,419円(平成30年6月30日時点における先進医療Aに係る費用 / 厚生労働省)。選定療養に入ったことで、将来的に保険が使える対象にするかどうかの評価は行われない。

患者の負担、永遠に増えとるやないかーい!

では、なぜ多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術が選定療養から外れたのか? 政府の関係者から取材したわけではないが、「需要がありすぎた」からだと私は思う。

その意味では、先進医療特約の存在は大きい。これさえあれば負担がゼロになるわけだから、眼科医としても提案しやすく、患者も気軽な気持ちで受療していたのではないか。

しかし2020年4月以降はもう使えない。保険会社は胸をなでおろしているかもしれないな。視点を変えれば、先進医療特約の存在価値がめちゃくちゃ下がったとも言えよう。

駆け込み診療はちょっと待った

この影響で眼科医は大忙しと聞いているが、思考停止で病院に駆け込むのはちょっと待った!

前述したように、多焦点眼内レンズには欠点だってある。約1割の人が見え方に馴染めず、単焦点眼レンズに切り替える再手術をしているデータもある。

あくまで治療法の一つとしてじっくり検討したうえで選択してほしい。

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