ウサギでもわかる「先進医療」とは

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ここでは、医療保険やがん保険の保障内容によく出てくる「先進医療」について解説する。

ウサギでもわかるように解説するので、安心して読んでほしい。

一言で説明!先進医療とは?

公的医療保険が使える”ノーマル医療”にするかどうかを「検討中」の医療技術のことだ!!

つまり、今後は公的医療保険の対象に移るかもしれないし、外れたままでいるかもしれない。「最先端の治療」ではあるけれど、その効果や副作用などの評価は十分ではないんだな。

だから、先進医療を受けるならそのときにかかる費用は全額自己負担になる。

患者が負担する額の一例

厚生労働省の「先進医療の概要について」の解説図がわかりやすいので引用しよう。3割負担の「現役並み所得者」の一例だ。

出典:厚生労働省「先進医療の概要について

治療費の総額は100万円。このうち診察や検査、投薬などの80万円分には保険が使えるので、3割負担の24万円でいい。しかし先進医療部分の20万円は全額自己負担だから、この例では44万円が請求されるわけだ。

本来、このように公的保険が使える診療とそうでない診療とを組み合わせて受けた場合は、「混合診療」といってすべてが自己負担になる決まりなのだが(なので請求額は100万円になる)、先進医療は例外的に認められている。これを「保険外併用療養費制度」というが、まったく覚えなくていい。

先進医療にはどんな種類がある?

先進医療は厚生労働大臣の承認を受けたものをいい、その種類は2020年年3月1日現在で「A」が27種類、「B」が32種類だ。「A」と「B」の違いは、ざっくり言えば評価ランクの度合いで、その定義を覚える必要はないだろう。Aのほうが信頼性が高いんだな、くらいの理解でいい。

有名所としては、がんの治療に使う「陽子線治療」や「重粒子線治療」だろう。後述するが、この2つは費用も高く、保険会社が”脅かし”の意図を込めて紹介してくる。

具体的な医療技術名は厚生労働省のページに譲ろう。前述したように、その評価については検討中の医療のため、時とともに変化するかもしれないからだ。

■先進医療の各技術の概要
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan03.html

【関連記事】
2万人以上が損をする?白内障の多焦点眼内レンズ手術に「先進医療特約」が使えなくなったぞ

先進医療はどこで受けられる?

先進医療は特定の大学病院などで研究・開発されており、医療技術ごとに一定の施設基準が設けられている。そのため、東京をはじめとした都会・都心で受けられるものが多い。

居住している地域によっては、先進医療を受けるために遠方の病院に出向いたり、ホテルなどを抑えたりしなければならないだろう。このハードルは意外に高いと思う。

■先進医療を実施している医療機関の一覧
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan02.html

先進医療はいくらかかる?

全額自己負担でも、それが大した費用じゃなければ恐れる必要はないのだが、残念ながら高いものは高い。目ン玉が飛び出るほど高い。

厚生労働省「平成30年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」から、実施件数が多いものをまとめてみたぞ(多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術は除く)。

■平成30年度実績報告(平成29年7月1日~平成30年6月30日)
技術名 1件あたりの費用 年間実施件数
陽子線治療 271万6,016円 1,663
重粒子線治療 313万3,672円 1,008
MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法 10万7,601円 366
高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術 30万7,342円 178
抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査 3万3,773円 143

陽子線治療と重粒子線治療が群を抜きすぎているせいで混乱するが、先進医療だからといって、家計が破綻するような技術費用がかかるとは限らない。

また、年間実施件数からも想像がつくように、先進医療のお世話になることはほとんどないと言っていい。費用も実施件数も多い陽子線治療や重粒子線治療にしたって1,000件程度だ。一方、治療中のがん患者は約150万人いるんだぞ? 仕事を持ちながら悪性新生物で通院している人に限定しても約32万人だ(がん患者のおかれている状況と就労支援の現状について / 厚生労働省)。

だから、先進医療にかかる自己負担額に怯える必要はないのだが、保険会社は不安をあおる広告ばかり作っていやがる。本当に卑しい奴らだ。

まとめ

  • 先進医療は健康保険を適用するかどうか検討中の医療技術
  • 最先端ではあるが優れた効果をもたらすとは限らない
  • 技術費用は全額自己負担。しかし必ず高額になるとは限らない
  • 実施病院・実施件数は全体視点で見ればごくわずか

こんなところだ。以上から、先進医療にかかる費用をカバーする先進医療特約の必要性も想像がつくと思うが、用語解説から離れてしまうため割愛する。

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