【辛口評価】ここが嫌だよアフラック『ちゃんと応える医療保険EVER』

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※この保険は2021年1月で販売停止になっています※

がん保険の先駆者であるアフラックだが、同じ第三分野である医療保険の開発にも力を入れている。2018年に販売した健康応援医療保険なんかもそうだ。盛大にディスってしまったけれど。

そして申し訳ないことに、この「ちゃんと応える医療保険EVER」もあまり評価できない。

どうして辛口評価をするのか、執筆時現在の公式サイトの流れに沿って紹介する。

特徴1.ライフステージの変化に沿った見直しができる

この保険は、特約を途中で付けたり外したりするのが自由に設計してある(払込免除特約をのぞく)。例えば、働き盛りの30代や40代で就業不能状態になると困るし、60代以降は介護や認知症のリスクが怖い。

どの特約を追加するかは契約時に選ばないといけない商品も多いなか、カスタマイズが優れていると言える。

→でも就業不能保障や介護保障は給付条件・保険料ともに微妙

就労所得保障一時金特約

何らかの傷病で働けなくなったときの当面の生活費をカバーする「就労所得保障一時金特約」は、働けない状態が60日以上続くなど、給付条件が厳しいわりには1回しかもらえないのがネックだ。さらに、追加すると保険料が跳ね上がる。

精神疾患保障一時金特約

また、所定の精神疾患で働けなくなったときのの当面の生活費をカバーする「精神疾患保障一時金特約」も、給付条件が厳しいわりには1回きりしかもらえない。しかもこれは、「就労所得保障一時金特約」と同時にしか申し込めない設計だ。

介護一時金特約・認知症介護一時金特約

両方とも保障太りの原因になる特約。本気で介護リスクに備えるなら一時金では心もとない。要介護状態はいつまで続くか読めないし、一度なってしまうと蟻地獄みたいになかなか抜け出せないのが現状だしな。まあ、うさたんは介護保険すら不要だと思っているが。

医療保険の特約全般に言えることだが、真剣に就業不能状態や介護状態に備えたいなら専用の保険を検討したい。

特徴2.日帰り入院でも一律5日分支払われる

主契約の一つである入院給付金が、5日未満の入院までは一律で2万5,000円支払われる点を売りにしている。入院してから退院するまでの「入院在院日数」は年々短縮化しており、近年の医療情勢にはマッチした設計だと言える。

【関連】あなたが入院して退院するまでの期間の実態と医療保険の考察

→短期入院は保険に頼るリスクではない

しかし、短期間で退院できるなら医療費はさほどかからず、わざわざ保険料を支払ってまで備える経済的リスクとは思えない。誰でも最低150円相当の粗品をもらえるけど、参加料は200円かかるくじ引きみたいな印象を受ける。

「Q&A」には落とし穴みたいな注意書きもあって気になったが、これは「1入院のルール」に関連するため後述する。

なお、1回の入院につき5万円の一時金を受け取れる「入院一時金特約」もあり、付加すれば5日未満の入院でも7万5,000円受け取れる計算になる。しかしその分保険料が上がるし、経済合理性の観点から必要性は低い。

特徴3.180日以内の入院はすべて1入院にされてしまう

1入院とは、入院してから退院するまでの単位を表す保険用語で、保険会社によって定義が違う。アフラックの場合、退院してから180日以内に再入院すると、入院の理由が何であれ「前回の入院の続き」扱いになってしまうルールがあるのだ。

これは、はっきり言ってマイナスである。例えば胃潰瘍で14日間入院した人が、180日以内にまったく別の病気で入院すると、入院のカウントは「15日目から」になってしまうのだ。1入院につき60日を保障する医療保険だと残り45日だし、30日型だと残り半分だ。

このルールは「5日未満でも一律2万5,000円受け取れる」というメリットもスポイルしている。例えば2日間入院し、180日以内に7日間入院すると、入院は前回の続きなので、2日目から5日目までの3日分は「すでに支払済み」ということで支払われない。こういう落とし穴があるので、支払要件はきちんと確認しておこう。

特徴4.通院保障ありプランなら最高30日まで保障

入院治療から在宅・通院治療にシフトしている昨今、通院保障の充実度は無視できない。『ちゃんと応える医療保険EVER』の通院ありプランは、入院を条件に、入院前60日間と退院後120日間の期間内で合計30日間まで保障してくれる。

→30日間で足りるのか微妙

しかし、ちと短いのではないか。一般的な傷病なら30日間もあれば十分かもしれないが、がん治療となるとそうはいかない。まあ、「がんはがん保険で備えろや」というアフラックさんのメッセージかもしれないが。

とはいえ、通院ありプランでも500円程度しか高くならないので、昨今の医療情勢を考えると頭ごなしにダメとは言えない。微妙という表現にとどめておく。

特徴5.三大疾病も手厚く保障

三大疾病関連の保障は、甘いことを謳っていても給付条件が無理ゲーみたいな保険もあるため注意したい。

→がん:悪性がんのみを対象にしているのはよいけれど

まずがん保障だが、上皮内がんは対象外で悪性がんを対象内としている点が評価できる。一般的に、上皮内がんは手術で切り取ってしまえば完治に向かうことが多く、治療費は大してかからないためだ。経済的負担が少ないものに保険をかけるべきではない。

運悪く再びがんになったときの、2回目以降の支給要件も悪くない。他社では入院を条件としていることもあるなか、「ちゃんと応える医療保険EVER」は医師の診断確定だけでOKだからだ。これで支給間隔が1年に1回ならもっと良かったのだが。

→急性心筋梗塞・脳卒中は給付条件が緩いのか厳しいのか微妙

急性心筋梗塞と脳卒中は、治療を目的として20日以上入院したときか、対象の手術を受けたときに支給される。20日以上の入院というのは、三大疾病特約の歴史を考えると随分緩和されたなぁと思う。だって、昔は30日や60日なんて設定がほとんどだったんだから。

しかし、対象は急性心筋梗塞と脳卒中と、保障してくれる範囲が狭い点には注意が必要だ。急性心筋梗塞は心疾患の一つでしかないし、脳卒中も脳血管疾患の一つにすぎない。

特徴6.先進医療特約は通算2,000万円

先進医療特約の保障内容は、各社ともどっこいどっこいと言うか、数字合戦をしているような状況なので大して気にする必要はない。よほど条件がひどい商品でないかぎり問題ないだろう。

→更新型なのが気になる

この保険は終身型だが、先進医療特約は10年の更新型だ。主契約の保険料は変わらないのに、先進医療特約は10年後に新たな保険料に切り替わる。

先進医療特約の付加保険料が爆上がりしている可能性は低いと思うが、今より安くなる可能性は低いと思うので、契約時に固定されるほうがよいだろう。

【関連】ウサギでもわかる「先進医療」とは

特徴7.「特別保険料率に関する特則」で緩和型保険に早変わり

既往症などで通常の医療保険に加入しにくい人は、「特別保険料率に関する特則」を付けることで、『ちゃんと応える医療保険EVER』を緩和型医療保険として契約できる。

→緩和型保険自体がお得だと思えない

しかし、緩和型医療保険は「保険に入ってさえいれば安心」という層の足元を見ている商品であり、ありがたき保険様に入らせていただく代わりに納める割増保険料を考えるとおすすめできる内容ではない。

高額療養費制度など、利用できる公的支援を検討しまくったうえ、それでも必要だと判断した人だけが検討するとよいだろう。

ただし、以前は別々だった緩和型保険の商品を特則で一本化したのは、ややこしくなくて良い感じだ。

まとめ

  • (○)特約の付け外しが自由で良い
  • (×)5日未満の一律入院保障は不要(保険料を押し上げる原因になっていないか)
  • (×)1入院のルールを変えてほしい
  • (×)急性心筋梗塞・脳卒中の補償範囲が狭い
  • (△)終身型の保険なので先進医療特約も終身型のほうがよい

またまたアフラックさんに怒られそうだが、これがうさたんの正直な感想だ。ぶっちゃけ、終身の医療保険の時点でいらないのだが、仮に終身型を選ぶにしても、わざわざこの保険を選ぶ旨味は薄いだろう。

最後に一つだけ褒めたい。アフラックの保険料シミュレーションページはとても見やすくて良いと思う。特約一つひとつの保険料も出るし、給付要件の説明も分かりやすい。

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