【辛口評価】アフラックの『健康応援医療保険』は応援されている気がしない

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※この保険は2021年9月を持って販売停止になった模様※

2018年のトレンド、そして2019年も盛り上がりを見せると思われる「健康増進型」の保険。保険加入者が健康診断の結果を提出したり、運動したりすることで保険料の割引などが受けられる保険のことだ。

第三分野(医療保険やがん保険)で強みを持つアフラックが参戦しない訳がなく、今をときめく田中圭と橋本環奈を起用してペットネーム通りのメディア展開をしている。

さて、どんなものかと見てみたが、うさたん的には残念な保険だと言っておこう。以下、健康応援医療保険の公式サイトにそってレビューする。

特徴1.キャッシュバックで加入者の健康を応援。ただし……

この保険の目玉は、年に一度の保険料のキャッシュバックだ。健康診断の結果、健康年齢が実年齢を下回っていれば、健康還付金を受け取れるというもの。

「健康年齢診断シミュレーション」ページなるものも公開されており、現時点の健康年齢のチェックが可能。つまり、現時点の自分が健康還付金を受け取れる見込みがあるか、ここで確認しておいてね、ということだ。

健康還付金は現金で受け取ることもできるし、Amazonギフト券で受け取ることもできる。Amazonユーザーじゃない人には1ミリもありがたみがないが、この辺りはまあ、今後いろんな換金方法が出てくるのかもしれない。

肝心の、どれくらいキャッシュバックされるかについては金額表が公表されている。

■健康還付金
年齢 保険料 年間保険料 健康還付金
25歳 男性:2,109円
女性:2,189円
男性:25,308円
女性:26,268円
男性:1,900円
女性:1,200円
30歳 男性:2,379円
女性:2,369円
男性:28,548円
女性:28,428円
男性:2,300円
女性:1,500円
35歳 男性:2,779円
女性:2,639円
男性:33,348円
女性:31,668円
男性:2,700円
女性:2,000円
40歳 男性:3,309円
女性:2,969円
男性:39,708円
女性:35,628円
男性:3,400円
女性:2,300円

男性の場合で7~8%程度女性だと4~6%程度のキャッシュバックが受けられるようだ。これを多いと見るか少ないと見るかは別として、大切なのは次だ。

ところがどっこい60歳までね

健康還付金には年齢制限が設けられている。公式サイトから引用すると・・・

お支払いの対象期間は被保険者の年齢が60歳となる年単位の契約応当日までです。
出典:アフラック公式ページ

おわかりか?

60歳以降の健康状態は応援してくれないということだ。

患者調査の概況「受療率」(厚生労働省)の増加率を見ても明らかだが、健康年齢が本領を発揮するのは60歳以降だ。つまり、まだまだ若い人と年相応に病気がちになっていく人の差が出るのは60歳以降なのに、そのときのモチベーションは維持してくれないのである。

人生100年時代、今よりも元気なお年寄りが増えていく今後、60代になってもピンピンしているシニア層は少なくないと予測する。しかし、そんな現役バリバリな方々でもキャッシュバックは受け取れない。

60歳以降は還付金を打ち切られるからである。

若いうちは、ある意味もらえて当然。だって若いんだから。真価が問われるのは60歳以降なのに、そこは応援してくれない、残念な設計だ。

特徴2.入院1日1万円で安心!

入院給付金日額が1万円というのも、健康応援医療保険のいちおしポイントらしい。うさたんは、高額療養費のことを考えると日額5,000円で十分だと思っているが、保険料の兼ね合いもあって5,000円に妥協している人は少なくないだろう。1万円なら安心だ。差額ベッドを利用しないとは言えないし、大船とまでは言えないが、気持ち的に余裕が出るのは確かだ。

しかし、平均在院日数は短期化傾向にある

そう、そうなのだ。平均在院日数は年々、減っているのだ。要は、入院給付金日額が頼りになるケースが減ってきている。

それでも初期コストはかかるが、そんな額は知れており、保険で備えるような大きなリスクだとは思わない。

手術を伴うような大きな病気をしても、この保険が活躍する姿が見えない。手術給付金は一律5万円で固定だからだ。そう、この保険はアレンジが効かないのである。先進医療特約まで付加必須というご丁寧さだ。

順番が前後するが、ここで保障内容の一覧を見てみよう。アフラックの公式ページを参考に書き起こした。

名称 支払額 支払限度
入院給付金 1回の入院につき、1万円×入院日数 1回の入院について30日(※)
重大疾病入院給付金 重大疾病での1回の入院につき、1万円×入院日数 1回の入院について90日(※)
手術給付金 1回につき5万円 無制限
(一連の手術については14日に1回)
放射線治療給付金 1回につき5万円 無制限
(複数回受けた場合は、施術の開始日から60日に1回)
先進医療給付金 先進医療にかかる技術料のうち負担した額 通算2,000万円まで

※通算は1,095日

1回の入院につき1日1万円もらえても、支払限度日数は30日、手術給付金、放射線治療給付金は5万円固定と、保障内容は非常に心もとない。保険料がリーズナブルな理由は、なんのことはない、他の保障を抑えているからだ。

正直、この程度の備えに保険料を支払ってまで入る意味があるのか、疑問に思う。頼みの綱の入院保障は今後ますます使えなくなるだろうし。

特徴3.重大疾病での入院は120日まで延長保障。うーん。

入院が長期化するような重大疾病(がん(悪性新生物)、心疾患、脳血管疾患、肝疾患、腎疾患、膵疾患)で入院した場合、30日を越えても入院給付金日額が受け取れる。それが「重大疾病入院給付金」だ。

この給付金があるおかげで、長期化もカバーする保険ですよというのがアフラックのアピールだが、他社にも似たような仕組みはあるので特段ありがたがることはない。

他社でもできるし保険料も安い

ためしに、チューリッヒの『終身医療保険プレミアムDX』で、《入院給付金日額1万円、手術給付金・放射線治療給付金5万円、先進医療特約あり、月払》と、アフラックの健康応援医療保険と同スペックにし、1入院の支払限度日数を120日にしてみた。結果、保険料は次のとおり。

年齢 健康応援医療保険 プレミアムDX
20歳 男性:2,109円
女性:2,189円
男性:1,782円
女性:2,032円
30歳 男性:2,379円
女性:2,369円
男性:2,152円
女性:2,402円
40歳 男性:3,309円
女性:2,969円
男性:2,892円
女性:3,042円

やだ、チューリッヒやっす・・・。

重大疾病でないと120日まで延長保障されない健康応援医療保険に対し、どんな病気でもデフォルトで120日まで保障されるプレミアムDX。もちろん、完璧に条件をそろえての比較ではないが、保障内容・保険料ともに目を引く内容は少ないというのがうさたんの印象だ。

特徴4.健康増進型としては生保初のオンライン専用保険

この手のタイプとしては初の、スマートフォンやパソコンから申込を完結できる保険だという。ついでと言っては悪いが、保険証券の電子発行も生保初だとか。

こういう新しい試みはさすがアフラックだと称賛したい。AIが保険の提案をするような時代なので、この手の保険はどんどん増えてほしい。「付いていけないわ」というそこの貴婦人。そんなことでは平成に取り残されますよ。

専用のスマホアプリ『ココカラダック』もある。ここでは、プレゼントがもらえるキャンペーンや、『テキスト医療相談』といって、医療従事者に病気・症状についての相談ができるもの、人間ドックの予約ができるなどのコンテンツが用意されている。キャッシュバックの請求もアプリから可能なようだ(2019年9月ごろ提供予定)。

使い心地などは実際に加入してみないとレビューできないが、(株)メディカルノートやマーソ(株)といったスタートアップ企業に投資しているようだし、今後もいいように拡充していくのだと思う。

うさたんの結論:1日1万円は魅力ではあるけれど……

そもそも30日程度の入院保障は必要性が低く(高額療養費と貯蓄でなんとかなる)、長期保障ではチューリッヒに軍配、保険料でも完敗ということで、うさたんとしては全然おすすめできない。

定期保険なら再考の余地がないわけではないが、終身で、しかも目玉の健康還付金が60歳までで終了となると、その先30年間生きると仮定して、この保険に助けられたと思える気がしない。

ただし、加入や請求の手続きが、テクノロジーを活かして簡略化されているのはとてもいい。保険にさほど関心がない、だけれどもなにかの保険に入っておかないと不安という層が、「なんか安そー。スマホからも簡単に入れるー。健康にも自信あるー」みたいに加入する姿が浮かぶ。

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