うさたんだ。
今日は、習い事をしたときに、所属の運営側からほぼ強制的を加入を迫られるスポーツ保険について語りたいと思う。
タイトルは、チンピラヤクザが鉄砲玉に任命されてから実行するまでの数日間を描いた映画『純平、考え直せ』から。純平はバカだから考え直さないのだが、みんなは利口だから考え直そうな。
なぜ、いきなりスポーツ保険に牙をむくのか?
それは、最近始めた格闘技ジムの先生から「スポーツ保険代がいるから。入会金+3,000円よろしく〜」的に言われ、「え?」となったからだ。
会員に何かあったときのリスク回避の手段として認知されている保険だし、もちろん運営者側に悪気はないのだが、残念ながらその補償内容を理解していないことが多い。補償内容を知っていたら、「これ、いらない人もいるよなあ…」という選択肢も浮かぶはずなのに、思考停止で調べようともしない。
だったらうさたんが説明しよう。
スポーツ保険の中身を考えれば一目瞭然
公益財団法人・スポーツ安全協会によれば、スポーツ保険で補償されるものは次の3つだ。
(1)傷害保険
急激で偶然な事故でケガを負い、入院、手術、通院をしたときに、1日(回)○○円といった形で補償される。死亡、後遺障害したときも保険金を受け取れる。
(2)賠償責任保険
他人にケガをさせたり、他人のモノを壊したりして、法律上の損害賠償責任を負った場合、そこにかかる費用に対して保険金を受け取れる。
(3)突然死葬祭費用保険
名称のとおり突然死した場合に、葬儀費用程度の保険金を受け取れる。
さて、保険とは、貯蓄だけでは対処できない経済的リスクをカバーするために入るものだと口すっぱく言っている。この中でその「経済的リスク」に該当するのは(2)の賠償責任関連だけだ。
入院や手術の治療費用なんてたかが知れているし、日本には高額療養費制度だってある。1カ月間にかかる治療費用の最大は、一般的な所得の人なら約8万円だ。特に手に負えない額でもないだろう。
葬儀費用は平均約200万円とされているが(「葬儀についてのアンケート調査報告書」/ 日本消費者協会)、手も足も出ない大金とは言い難いし、かかる費用ではなくかける費用なので、お金がなければ予算を圧縮すればいいだけである。最近はこじんまりとした家族葬で済ませる世帯も増えていると聞く。そもそも、日本消費者協会が発表しているデータだって信用していいものなのかどうか。(「葬儀の平均費用195万円」が怪しすぎる理由 / 東洋経済オンライン)
ところが、賠償責任は天井知らずだ。自転車保険の事故などでよく報道されているが、他人様の人生を台無しするような損害を与えた場合、その賠償金は1,000万円や2,000万円では効かないかもしれない。
自転車保険経由でなくてもいいから、個人賠償責任保険は必須
— マッチョうさたん@保険哲学 (@machohoken) February 6, 2020
だからスポーツ保険うんぬんは関係なく、どんな人でも賠償責任保険は必要なんだ。ここまではいいな?
賠償責任保険、すでに加入していない?
保険に無頓着な人はあまり意識していないかもしれないが、賠償責任保険は、自動車保険や火災保険の特約、またクレジットカードの付帯保険にも付いているものだ。
保険料は月々100円程度ながら、その必要性は説明したとおりなので、保険代理店などに勧められて追加している人は少なくない。つまり、すでに持ってない?ということだ。
「だけど、スポーツ保険の賠償責任保険というからには、スポーツ中に相手を大ケガさせてしまったときに役立つんじゃない?」と思いがちだが、そういうケースで法律上の賠償責任は問われない。スポーツをする時点で、多少の危険性が伴うことを了承していると判断されるからだ。
1.法律上の賠償責任が発生しない損害
(例1)サッカーで蹴ったボールが相手に当たり、ケガをさせた場合や、かけているメガネを破損させた場合※スポーツそのものが多少の危険を伴っているだけに、たとえこれらのルールを守ってプレーをしていても、不可避的に起こってしまう事故もあります。このような事故については、多くの場合、法律上の賠償責任はないものと考えられます。
https://www.sportsanzen.org/hoken/baiseki.html
つまり、スポーツ保険における賠償責任保険と、自動車保険や火災保険経由で加入する賠償責任保険とで違いはほぼなく、既に加入している人は補償が重複してしまう。加入していない人でも、わざわざ必要性が低い傷害保険と突然死葬祭費用保険とがセットになったスポーツ保険経由で入る意味がないのだ。
いま一度、自分の保険を確認して考え直せ
以上が、うさたんが考えるスポーツ保険の要・不要だ。個人賠償責任保険をすでに持っていて、医療保険に加入済の人にはさらに必要性が減る。ケガの治療しか補償してくれない傷害保険より、ケガでも病気でも保障の対象内である医療保険のほうが使い勝手がいいからだ。受け取れる給付金の総額も大きいことが多い。
加入する側はもちろん、運営者側には特に知っていてほしい基本である。「スポーツ保険、入りますか?」の一言でもいいんだ。でないと、年間3,000円程度とはいえ、すでに必要な保険に入っている人には無意味な出費をさせている。