【結論】2022年の学資保険も返戻率がダメダメなので不要

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学資保険はもともと必要度の低い保険だったが(後述する)、2019年以降は底辺に落ちたな、というのが率直な感想だ。

理由は単純。返戻率がダダ下がりになったからだ。なかには従来のような払込プラン(18歳までに払い込む等)だと、返戻率が100%を下回るものもある。積み立てしているのにお金が減っていくという、なんとも摩訶不思議な保険もあるのが現状だ。絶対に手を出してはいけない。

2022年の実情:各社の返戻率ランキング

各社の返戻率は今どのくらいなのか? 論より証拠なので表にまとめた。見積もりの共通条件は下記。

  • 契約者:男性30歳
  • 子供:0歳
  • 総受取金額:200万円前後
  • 月払

表はかなり長いので、すーっと流し読みしてもらえればいい。それと、返戻率が高いもの順にソートしたつもりが途中から乱れているが、どうせおすすめできない保険だから気にしないでくれ。

なお、明示安田生命のつみたて学資は総受取金額を300万円にすると返戻率が上がる(最高105.7%)が、特殊ケースだと判断して除外している。

保険会社 商品名 返戻率 保険料払込期間 満期時
日本生命 ニッセイ学資保険 108.5% 5年 22歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅲ型 105.5% 10年 22歳
日本生命 ニッセイ学資保険 107.6% 5年 21歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅱ型 105.0% 10年 22歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅱ型 104.4% 10年 20歳
日本生命 ニッセイ学資保険 107.2% 10年 22歳
フコク生命 みらいのつばさ 105.5% 11年 22歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅲ型 103.7% 15年 22歳
日本生命 ニッセイ学資保険 106.3% 10年 21歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅱ型 101.9% 10年 18歳
明治安田生命 つみたて学資 104.7% 10年 21歳
フコク生命 みらいのつばさ 104.7% 11年 22歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅱ型 102.5% 17年 22歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅱ型 103.7% 15年 22歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅱ型 102.7% 15年 20歳
JA共済 学資応援隊(大学プラン) 101.3% 12年 22歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅱ型 102.7% 10年 17歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅱ型 101.7% 18年 20歳
JA共済 学資応援隊(大学プラン) 101.1% 11年 22歳
フコク生命 みらいのつばさ 103.8% 14年 22歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅲ型 102.6% 18年 22歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅱ型 102.1% 17年 20歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅱ型 101.2% 20年 20歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅰ型 102.1% 10年 22歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅰ型 101.8% 10年 20歳
フコク生命 みらいのつばさ 103.0% 14年 22歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅱ型 103.0% 15年 18歳
明治安田生命 つみたて学資 102.7% 15年 21歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅱ型 102.5% 17年 22歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅱ型 101.1% 15年 17歳
JA共済 学資応援隊(大学プラン) 99.8% 15年 22歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅱ型 103.3% 18年 22歳
JA共済 学資応援隊(大学プラン) 99.6% 14年 22歳
フコク生命 みらいのつばさ 101.9% 17年 22歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅱ型 101.9% 22年 22歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅱ型 101.9% 17年 18歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅰ型 101.7% 10年 18歳
日本生命 ニッセイ学資保険 104.0% 18年 22歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅰ型 101.5% 15年 22歳
日本生命 ニッセイ学資保険 103.7% 17年 21歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅱ型 101.4% 17年 17歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅰ型 100.2% 10年 17歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅰ型 101.2% 15年 20歳
フコク生命 みらいのつばさ 101.2% 17年 22歳
JA共済 学資応援隊(高校プラン) 91.1% 12年 18歳
JA共済 学資応援隊(高校プラン) 92.7% 11年 17歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅰ型 100.7% 17年 22歳
ソニー生命 学資保険(無配当)Ⅰ型 100.5% 17年 20歳
JA共済 学資応援隊(大学プラン) 98.3% 18年 22歳
JA共済 学資応援隊(大学プラン) 98.1% 17年 22歳
JA共済 学資応援隊(高校プラン) 90.4% 15年 18歳
JA共済 学資応援隊(高校プラン) 91.2% 14年 17歳
アフラック 夢みるこどもの学資保険 98.1% 10年 22歳
アフラック 夢みるこどもの学資保険 98.0% 10年 21歳
かんぽ生命 はじめのかんぽ 97.5% 12年 21歳
かんぽ生命 はじめのかんぽ 97.0% 12年 18歳
かんぽ生命 はじめのかんぽ 96.6% 12年 17歳
アフラック 夢みるこどもの学資保険 96.3% 17年 21歳
アフラック 夢みるこどもの学資保険 96.2% 18年 22歳
かんぽ生命 はじめのかんぽ 95.2% 18年 21歳
かんぽ生命 はじめのかんぽ 94.7% 18年 18歳
かんぽ生命 はじめのかんぽ 94.7% 17年 17歳

かつては110%超えだった学資保険も、現状では106%を超えたら優秀というレベルになったのがおわかりだろうか。それも、保険料払込期間を5年や10年といった短期払にしてこの有様だ。

短期払にすると月々の負担が増すんだが、増してこの程度か、と言わざるをえない。なにせ、100万円積み立てたとして、18年後に106万円になって返ってくる計算だからな。運動量のわりに筋量が増えないうさぎ跳びみたいなもんだ。

それでも銀行預金よりはマシだし、強制貯蓄効果もある、なにより自分(親)が死んだとき安心じゃないかという声もあるだろう。全否定はしないが、学資保険はもともと必要性が低い保険だと考えている。理由はこうだ。

銀行預金よりはマシだが低金利の長期間固定がイヤ

銀行預金よりはマシなのはそのとおりだ。定期預金の平均は0.0~なんぼの世界だし、学資保険のほうがよほど利回りがいい。

しかしネックなのは利率固定という点だ。ここ最近のような超低金利時代に18年間も固定されることに魅力を感じない。ほとんど増えもしない、自分で運用もできないお金を保険会社の懐に払い込んでいるようなもんだ。インフレにだって対応できない。

強制貯蓄効果が首を締める可能性もある

コツコツ貯蓄するのが苦手な人は確かにいるので、強制貯蓄効果には同意しよう。だが前述のとおり、肝心の貯蓄効果は低いと言える。

また逆に、止めたくても止めらないという側面を忘れてはならない。

教育費の積み立てを止める、という選択肢があるかどうかは別として、たとえばリストラにあったとか、残業がなくなったとかで収入に変動があり、保険料を払い込むのがキツくなったとき、途中解約すると払い込んだ保険料は7割程度しか戻ってこない仕組みになっている。要するに元本割れしてしまうんだ。

この、お金の流動性が低いというデメリットは、私でなくとも多くのFPなどが指摘している。

親が死んだときに安心?それは生命保険の守備範囲

確かに、払込期間中に親(契約者)が亡くなると、以降の払込は免除となり、なおかつ予定どおりの保険金を受け取れる学資保険の仕組みは良いと思う。

だがそれは学資保険でなくてもカバーできるし、死亡保障なら生命保険のフィールドじゃないだろうか。むしろ生命保険のほうが保険料が安くなる傾向にある。

実際に比較してみよう。《契約者:男性30歳、子供0歳、保険料払込期間10年、死亡保険金200万円》の条件で、ソニー生命の学資保険(22歳満期)と、オリックス生命の終身保険「RISE(ライズ)」とで比べてみた。

  • ソニー生命の学資保険:月1万5,788円(総額189万4,560円)
  • オリックスライズ:月1万3,194円(総額158万3,280円)
  • 払込総額の差額=10年間で31万1,280円

どうだろうか? 万が一のセーフティネットを考えるなら、学資保険より生命保険のほうが優秀と言えると思う。

なお、ここでは比較のためライズの死亡保険金を200万円としたが、現実に親に万が一のことがあった場合、教育費より生活費のほうが遥かに重要なので、子育て世帯は死亡保障を第一に考えておくべきだ。

結論:学資保険の魅力は薄い

以上から、現状の学資保険は魅力がないため入る必要は見当たらない。強制貯蓄効果があるとはいえ、肝心の「貯蓄」はほとんどできないと結論付ける。

そもそも、学資保険というのは、多くが国債で運用されている。加入者からの保険料を国債で運用し、その運用益のいくらかが還元されている仕組みなわけだ。

……なら、自分で国債を買ったほうがいいのではないだろうか? 個人だと10年国債しか買えないため、利回りが違うのだが、知識のある人は、国債に加えて株や投資信託など投資をやっている。私はそうした積極的な人を指示する。

……

とはいえ、「教育資金のすべてを投資で用意しろ」は、さすがにマッチョ思考すぎるとも思う。

投資に慣れていない人はもうハラハラドキドキだろうし、資産の浮き沈みで過度のストレスになる恐れもある。最も大切な子育てに影響をおよぼすようなことがあれば本末転倒だ。

ではどうすれば良いか。私なら学資保険と変動商品(資産運用)を組み合わせて対応する。

組み合わせは、責めの姿勢なら学資3割、変動商品7割くらいのポートフォリオを組みたいが、怖いなら5:5、または逆の7:3などでもいいだろう。どうせ学資保険だけでは足りないのだから、多くの利回りを期待できる変動商品は入れておきたい。

学資保険選びは、四の五の言わずに返戻率で選ぶといい。払込みはもちろん短期払だ。できれば5歳、難しいなら10歳、最悪でも15歳(中学卒業)までには払い終えておきたい。教育費負担の実態調査結果(日本政策金融公庫)なんかを見ても明らかなとおり、一般的に、教育費は高校生から跳ね上がるものなので、それまでに積み立てておかないとそもそも積む、という現実があるからだ。

着実に貯蓄できる商品をしかるべき年齢までに貯めておきながら、一方で、多くの利回りを期待できる金融商品で補うという戦略だ。最近、保険会社が力を入れている外貨建て保険も一つの手だろう。ソニー生命が「米ドル建て学資プラン」なるものを出しているが、もはやそういう時代なのだ(手数料が高めなので勧めはしないが)。

変動商品にはリスクも付いて回るが、それも致し方ない。それくらい、現状の学資保険には期待できないのだから。

勉強しても知識が追いつかなければ保険ショップなんかにいくのも良いだろう。無料だし、金融庁から怒られて以来、保険相談は随分よくなったと感じる。専門家にシミュレーションしてもらい、家計に合った教育費準備プランを組み立ててもらうのも、なんとなく学資保険にだけ入っているより遥かにマシだとうさたんは思う。

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