今日は、自転車屋さんで「入っときます?」でお馴染みの「TSマーク付帯保険」を評価したい。知っているよな? あのシールのことだよ。
TSマーク付帯保険の概要
「自転車安全整備士」という資格を持った人が、「ちゃんと点検・整備しましたよ」「この自転車は安全ですよ」ということを証明するものだ。TSマークとは「Traffic Safety(交通安全)」の略称な訳だな。ドヤ顔で語れる知識でもないが。
ともかく、このシールが貼ってある自転車には自転車保険が乗っかる仕組みになっている(※1)。自分や相手がケガをしたときの傷害補償と、個人賠償責任補補償だ。
タイトルどおり、ここではこの保険が検討に値する保険か否かを考えたいので、さっそく補償内容を見てみよう。
補償内容 | 給付条件等 | 青色 | 赤色 |
---|---|---|---|
傷害補償 | 入院15日以上 | 一律:1万円 | 一律:10万円 |
死亡・重度後遺障害 (1~4級) |
一律:30万円 | 一律:100万円 | |
賠償責任補償 | 死亡・重度後遺障害 (1~7級) |
限度額:1,000万円 | 限度額:1億円 |
被害者見舞金 | 入院15日以上 | − | 一律:10万円 |
青と赤とでは補償内容に大きく差があるが……まず、自転車事故で怖いのは、相手に重大なダメージを与えた結果、高額な損害賠償責任を負ってしまったときだ。したがって自転車保険の肝は個人賠償責任保険。ここを頭に叩き込んでほしい。
その視点で見てみると、青色TSマークは補償限度額1.000万円と、近頃の高額賠償事例(http://www.sonpo.or.jp/efforts/reduction/jitensya/)を思い返すとなんともひ弱な設計になっていると言わざるを得ない。
一方、赤色TSマークの限度額は1億円と、及第点の額だ。以前は5,000万円だったのだが、平成29年10月1日から2倍にアップされたことから、TSマークを運営する日本交通管理技術協会の心意気が伺える。非常によろしい。
給付条件にある「死亡・重度後遺障害」が気になる
被害者からの損害賠償が高額になるのは、死亡させたか、重度のダメージ(後遺障害)を負わせたときなので、別に良いと言えば良いのだが、給付条件に”死亡・重度後遺障害(1~7級)”と書かれているのが気になると言えば気になる。
裏を返せば、ケガはさせたけれど死亡していない、重度後遺障害でもない場合は1円も出ませんよということなのだから。
被害者への補償ではないが、同じことは傷害保険の”死亡・重度後遺障害(1~4級)”にも言える。補償対象外になっている後遺障害5級というのは決して軽い傷害ではないぞ?
【参考】後遺障害第5級 8つの分類
- 1号:1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
- 2号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することが出来ない
- 3号:胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することが出来ないもの
- 4号:1上肢を手関節以上で失ったもの
- 5号:1下肢を足関節以上で失ったもの
- 6号:1上肢の用を全廃したもの
- 7号:1下肢の用を全廃したもの
- 8号:両足の足指の全部を失ったもの
以上から、補償対象外のケガの状態でも、かかった治療費の実費に対して「限度額」○○円という設計ならより嬉しいと思うのだが、いかがだろうか?
ただ、さっきも言ったとおり、保険に頼りたくなるほど金がかかるのは被害者を死亡または重度後遺障害にさせたときなので、自分への補償について目くじらを立てる必要はさほどないかもしれない。
保険料は半端なく安い
このとおり給付条件には「ん?」と思うところもあるのだが、TSマーク付帯保険の保険料(点検・整備費用)は非常にお手頃だ。青色TSマークだと年1,500円程度、赤色TSマークでも年2,000円程度(※2)しかかからない。
自動車保険や火災保険に入っていない人で、なにかしらの個人賠償責任補償を安価で持っておきたいという人には、特にすすめはしないが否定もしない価格帯だと思う。さらに、両者の差が500円程度なら、私なら迷いなく赤色TSマークを選ぶ。
うさたんの結論
- TSマーク付帯保険はコスパを気にするなら悪くない
- 給付条件は確かに気になるが手に負えない高額賠償になるのは「死亡・高度障害状態」のみ
- 一般の保険ほど手厚くないため「保険に入っているから」と調子に乗るべからず
自分への傷害補償についてはあまり触れていないが、【結論】自転車保険は「個人賠償責任保険がない人」には必要でも書いているとおり、特に必要だと考えていないのでここでは割愛する。TSマーク付帯保険の傷害保険はただでさえオマケみたいなもんだから、気にせずともいいだろう。
※1.自転車の持ち主じゃないぞ。自転車そのものに保険がかかっている点に注意だ。
※2.「程度」としたのは自転車の状態や加盟店によって金額が異なるため。あくまで相場だと思ってくれ。詳細は自転車安全整備士店一覧(http://www.tmt.or.jp/safety/index1.html)で調べてくれ。
そもそも2000円も出して1億円はよいが、重度後遺障害にしか対応しないし、物に対する損害には対応しないなんて・・・・・。馬鹿高いとしかいいようがない。自転車事故を対象とした保険なら他に良いものがいくつかあるよね。TSマークって自転車の点検を受けさせるための制度におまけで付いてる保険だ!