うさたんだ。ここでは、自転車保険の選び方について解説するぞ。
全国の各自治体が保険の義務化を目指しているだけあって、今や自転車保険の商品は多岐に渡る。どれを、どんな基準で選べばいいのか、わからない人も少なくないだろう。
【結論】自転車保険は「個人賠償責任保険がない人」には必要で解説しているとおり、個人賠償責任保険さえあれば自転車保険は不要というのが私のスタンスなのだが、現実には必要性が低い補償もセット販売されていることがほとんどだ。
そこでこのページでは、そうした自転車保険を検討するとして、どんなポイントに気をつけて選べばいいのかをアドバイスしたい。
1に賠償、2に賠償、3、4がなくて5に賠償
何度でも言うが、保険は、自分では対応しきれない金銭的リスクに備えて入るものであり、自転車事故における金銭的リスクとは第三者を傷つけたときである。それは近年の高額賠償事例を見てもご理解いただけるだろう。
たとえば、神戸地裁は平成25年7月、高齢の女性を跳ねた小学5年生(当時)の少年の母親に対し、9,520万円もの賠償命令を下している(年齢は当時)。
また、令和2年2月の高知地裁では、男子高校生(当時)が起こした死亡衝突事故に対し、やはり9,400万円もの支払いを命じた。うさたんもこのようにツイートしたぞ
自転車保険経由でなくてもいいから、個人賠償責任保険は必須
— マッチョうさたん@保険哲学 (@machohoken) February 6, 2020
したがって、自転車保険を選ぶうえで見るべきポイントは個人賠償責任補償の保険金額である。先述の例からしても1億円は欲しいところ。保険料が安いからといって、1,000万円や2,000万円のプランはおすすめしない。
示談代行サービスの有無
示談代行サービスがあるのとないのとでは大きな違いだ。うさたんも経験があるが、当事者間での話し合いは結構骨が折れる。細かな損害賠償額や支払方法等について、互いが気持ちよく合意することは難しいからだ。
そんな、面倒くさい交渉事を代行してくれるのが示談代行サービスである。これがあれば一安心!一件落着!というほどのサービスでもないが、知識も経験もあるプロに任せたほうがスピーディに収まるケースが多い。
示談代行サービスの有無だけでその商品の良し悪しを決めることはできないが、有りの商品を選んだほうが安心なことは間違いない。
ハードに乗るならロードサービスは検討価値あり
まだまだ数は少ないが、ロードサービスが付いている自転車保険もある。タイヤのパンクやチェーン切れなど、搭乗中のトラブルをサポートしてくれるものだ。
ママチャリで生活圏内を走る程度のソフトユーザーにとって必要性は低いが、ロードバイクやマウンテンバイクを乗りこなすハードユーザーにとっては有用性が高い。特に遠方や田舎でのトラブルというのは厄介で、対応スキルがないと見知らぬ土地で途方に暮れるほかないからだ。
サービスのチェックポイントとしては、
- 対応可能時間
- 利用回数(年◯回など)
- 自走不能となった場合の搬送距離
- 対応可能地域
- 呼び出し機能(スマホアプリなど)の便利さ
などが挙げられよう。
これらをいい感じにサポートしてくれ、保険料が納得のいくものであれば、加入を検討してもいい。そもそも自転車は車と違い、外的ダメージに弱すぎるのだ。
ただ、パンク程度なら自分で直せるというサイクリストはごまんといるので、 ロードサービスの利用を検討する前に、最低限の対応スキルを身につけるほうが先な気もする。
傷害保険の補償内容は最低レベルで十分!
自転車事故で、自分がケガをしたときの治療費用の検討は最後でいい。理由は後述するとして、見るべきポイントは次の3つ。
- 入院日額はいくらか? 減額できるのか?
- 通院日額も出るのか? 外せるのか?
- 「自転車に搭乗中の事故」でのみ出るのか?
1.入院日額はいくらか? 減額できるのか?
大前提として、自転車事故で入院したからといって家計を傾けるような治療費になる恐れは低い。また、我々には高額療養費制度という、世界でも最高峰の公的医療サービスがある。
要は民間保険で備えるべき補償ではないのだ。したがって、オプションで「なし」にできるならそうしたいし、しかたなく選ぶにしても、できるだけ最低のプランが望ましい。それで保険料も安くなる。
2.通院日額は出るのか? 外せるのか?
入院日額に加え、通院日額が出る自転車保険もある。が、基本的には入院補償と同じで、保険に頼らなければいけない金銭的リスクではない。
自転車事故での通院は入院よりも可能性が高いため(関係者談)、通院補償をつけていると保険料もぐんと上がる。無駄無駄無駄。
通院日額は「なし」にするか、最低プランを選ぶのが望ましい。
3.「自転車に搭乗中の事故」でのみ出るのか?
「交通事故傷害保険」といって、自転車に限らず、“交通上用具に起因する事故”を補償対象としている保険がある。検討中の自転車保険についている傷害保険がこの種の保険だと、自転車のほか、電車やエスカレーター、エレベーターなんかに関係する事故も補償してくれるわけだ。
交通上用具に含まれるもの
①軌道上を走行する陸上の乗用具 汽車、電車、気動車、モノレール、ケーブルカー、ロープウェー、いす付リフト
②軌道を有しない陸上の乗用具 自動車、原動機付自転車、自転車、トロリーバス、人もしくは動物の力または他の車両により牽引される車、そり、身体障害者用車いす、乳母車、ベビーカー、歩行補助車
③空の乗用具 航空機(飛行機、ヘリコプター、グライダー、飛行船、超軽量動力機、ジャイロプレーン)
④水上の乗用具 船舶(ヨット、モーターポート、水上オートバイ、ボートを含む)
⑤その他の乗用具 エレベーター、エスカレーター、動く歩道
「なんか幅広く補償してくれてラッキー」と思うかもしれないが、うさたんはこれがいらないと思っている。補償範囲が広がることで、わずかながら保険料が高くなるからだ。そもそも自転車保険における傷害保険の必要性が低いのに、なんで範囲を広げとんねん、という話である。
傷害保険の補償範囲は、「自転車に搭乗中の事故のみ」としている保険が望ましい。
結論まとめ
- 個人賠償責任保険 → 1億円以上がいい
- 示談代行サービス → あると嬉しい
- ロードサービス → ハードユーザーなら検討の価値あり
- 傷害保険 → 可能なかぎりライトに
以上がうさたんの合理的(だと思っている)結論だ。「傷害保険は手厚いほうが安心」なんて言っているサイトは、自社サイトで扱う自転車保険を売りたいだけのアフィカスなので、相手にしないようにしような!