2020年6月30日、日本政府は「あおり運転」を規定した改正道路交通法を施行した。あおり運転、つまり妨害運転のことである。
ここ数年で暴かれ出したクズドライバー共には容赦なく実刑を下してほしいが、そこは自動車保険カテゴリに譲るとして、今回の法改正のポイントは自転車の運転も処罰対象に含まれている点だろう。
僕、私は関係ないと思ったそこの君! 君の運転でも「あおり運転」とみなされるかもしれないのだ。
おまわりさんは見逃さない、あおり運転7項目
自転車のあおり運転(妨害運転)に当たる行為は次の7つだ。うさたんが街中でよく見かける行為には(○)としたぞ。
- 逆走して進路をふさぐ(○)
- 幅寄せ
- 進路変更(○)
- 不必要な急ブレーキ
- ベルを執拗に鳴らす(○)
- 車間距離の不保持(○)
- 追い越し違反
上記は警察庁が発行している『令和2年改正道路交通法リーフレットB』の画像の一部。あおり運転をしている加害者のイメージ画像が車だが、自転車に脳内変換してほしい(減光等義務違反、最低速度違反、高速自動車国道等駐停車違反は自動車のみ)。
自転車が立派な「車」であることは周知の事実だと思うが、どうも自転車側は「歩行者」に属する気持ちで運転しているように見える。たとえば自由自在に逆走する自転車を見ない日はないし、走行中にベルを鳴らしまくって他車または歩行者を威嚇する自転車もよく見かける。
スマホの普及で「1億2,000万人総カメラマン」の時代だ。ドライブレコーダーの普及率も増えていることだし、滅多なことはするものではないぞ。現行犯でなくとも、撮影された映像に証拠能力があれば摘発される。
良い意味での監視社会にするため、自転車にもナンバープレートの装着義務を課してほしいくらいだ。
違反しても行政処分はかすり傷?
自転車による危険運転は、今回(2020年6月に)成立した「妨害運転」が加わり、全部で15項目となった。具体的な危険行為は以下の通り。
- 信号無視
- 通行禁止違反
- 歩行者用道路における車両の義務違反(徐行違反)
- 通行区分違反
- 路側帯通行時の歩行者の通行妨害
- 遮断踏切立入り
- 交差点安全進行義務違反等
- 交差点優先車妨害等
- 環状交差点安全進行義務違反等
- 指定場所一時不停止等
- 歩道通行時の通行方法違反
- 制動装置(ブレーキ)不良自転車運転
- 酒酔い運転
- 安全運転義務違反
- 妨害運転 ← New!
これらの危険運転違反で3年以内に2回摘発された14歳以上の者は、3時間の安全講習(有料)を受講しなければならない。受講しない場合は5万円以下の罰金が定められている。
もう1度言うぞ。行政処分の内容は、3時間の有料安全講習の受講義務か、5万円以下の罰金だ。有料安全講習の値段は自治体によって違うが、東京都では6,000円程度。
誰がどう見ても軽いわな。
新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で運動不足になった人や、宅配サービスの需要の増加で、街中の自転車ユーザーは確実に増えると思われる。そんな今後、この程度の処分でどうするのか。
これじゃあ、自転車の危険運転で捕まるリスクなんて「かすり傷」と思われても仕方ないじゃないか。
さいごに:とはいえ改正法の効果には期待する
「死ぬこと以外かすり傷」と豪語していた天才編集者とやらがセクハラで虫の息になったように、自転車の危険運転をナメて大惨事を起こす輩は必ず出てくるだろう。
被害者が出ないことを大前提として、そういうバカが出現するのはある意味で大歓迎だ。一点の曇りもない、ざまあみろという処分が下され、それを反面教師に道交法を遵守する人が増えますように。
【注意】
危険運転を罰することができるのは国家権力だけである。ルール違反をしている自転車乗りを注意するくらいは許されると思っているが、限度がある。自分勝手な正義を掲げて「○○警察」にならないよう、注意したい。