楽天生命『スーパー医療保険』は、楽天生命が販売する医療保険の中核を担う商品だ。短期から長期までの入院リスクをまるっとカバーする『1095α(アルファ)』、使わなかった保険料の掛け金が戻ってくる『スーパー医療保険 戻るんです』と違い、ベーシックな設計になっている。
私の感想を一言で表すと「楽天経済圏で暮らすユーザーなら、いいんじゃね?」だ。うさたんがどうしてそう思ったのか、「保障内容」「給付条件のわかりやすさ」「保険料」の3つの観点から説明するぞ。
評価の概要
メリットだと思った点
- 楽天スーパーポイントが貯まる(積極的な楽天ユーザーには嬉しい)
- がん診断給付金の給付間隔が1年に1回(通算6回)
- 急性心筋梗塞・脳卒中の給付条件が入院のみ
- ネット申込ができる
デメリットだと思った点
- 終身型である
- 主契約に放射線治療・骨髄ドナー保障がある
- 短期保障に力を入れている
- 180日以内の再入院は1回の入院になる
- 通院特約が入院給付金日額の60%までしか出ない
- がん診断給付金が上皮内新生物まで保障する
- 急性心筋梗塞・脳卒中の対象疾病が狭い
- 先進医療特約が更新型である
- 保険料が安いとは言えない
保障内容
全体的な評価は低め。うさたんが良い・悪いと思った点は次の二通りである。
(×)終身型である
将来どんな保障が必要になるかなんて誰にもわからないのに、契約時点で一生涯の医療保障を決めてしまう終身型はおすすめできない。
(△)主契約に放射線治療・骨髄ドナー保障があるのが微妙
この保険の主契約は、入院給付金と手術給付金の他、放射線治療・骨髄ドナー保障が付いてくる。用意されている3つのプラン(基本プラン、がんプラン、三大疾病プラン)のどれを選んでもセットされている設計だ。
放射線治療への保障は1回につき「入院給付金日額の20倍」という設定なので、入院給付金日額が5,000円なら10万円、1万5,000円なら30万円もらえる。支払は無制限だが60間に1回という縛りがある。
骨髄ドナー保障は、手術1回につき入院給付金日額の10倍だ。5万円~15万円もらえる計算になる。モラルハザードが起きないよう、責任開始日から1年を経過した日以後の手術にしか有効ではない。
さて、これらの保障を必要とするか否かは人それぞれだが、主契約に組み込まれている分、保険料に影響を与えていることは間違いない。放射線治療と骨髄ドナー手術を必要としない疾病で入院したときには出番がなく、たとえ微々たる上乗せであっても無駄な保険料になることが多いのではないか。
(△)短期保障に力を入れている
入院は日帰りから保障することをアピールしているが、短期入院は医療保険に頼るほどの出費にはならないため必要性が低い。
評価を△としているのは、楽天生命には『楽天生命医療保険1095α(アルファ)』という長期入院にも耐えられる珍しい医療保険があり、それとの棲み分けしているためだ。
(×)通院特約は入院給付金の最大60%しか出ない
入院治療よりも通院・在宅治療が一般化しつつある昨今、通院保障のニーズは多いだろう。
しかし実際には、退院後に足繁く病院に通うとは限らず、「月に数度」なんてケースは珍しくない。特にがん治療の場合、通院代は大したことなくても薬代はバカ高い、というケースを想定できる。つまり、基本的に通院保障はおすすめとは言えない。
そのうえ、『スーパー医療保険』は入院給付金日額の最大60%しか出ないのはいただけない。入院給付金日額と同額が出る他社商品もあるので改善に期待しよう。
(○)がん診断給付金の給付間隔が1年に1回(通算6回)
現状のがん保険またはがん特約において、がん診断給付金の給付間隔は、短くて1年、長くても2年だ。したがって1年に1回受け取れる設計は良いと思う。
「通算6回しかもらえない点が不安」と評価する人もいるだろうが、6回ももらえたら十分だろうと私は思う。
(△)がん診断給付金が上皮内新生物まで保障する
がん診断給付金は、がんと診断されると上皮内新生物でも給付金を受け取れる点をアピールしているが、うさたんの考えでは不要だ。理由はシンプルで、上皮内新生物は経済的負担が少ないから。
したがって、上皮内新生物でも悪性新生物でも区別せずに受け取れる設計の保険はオーバースペックだと考える。
上皮内新生物を保障するばかりに保険料が上がるのは経済合理性に反するため、費用負担がデカい悪性新生物に全振りしていただきたい。
△とした理由は、上皮内新生物の給付は1回きりで、しかも悪性新生物の50%と限定しているからだ。「上皮内新生物でも満額保障!安心です!」なんてアピールしている保険よりはいくぶん良い。
なお、再発での給付条件は悪性新生物のみだが、入院が条件となっている。診断だけで受け取れると、なお良かった。
(×)急性心筋梗塞・脳卒中の対象疾病が狭い
急性心筋梗塞や脳卒中というのは、「心疾患」「脳血管疾患」という大きなくくりで見るとひとつの疾病にすぎない。かかると怖いのは急性心筋梗塞と脳卒中だけではないので、保障範囲がより広い他社の商品のほうが優れている。
なお、他社であれば、がんを合わせて「三大疾病一時金」といった名称でひとまとめにしているのが一般的だが、楽天生命のスーパー医療保険では「急性心筋梗塞治療給付金・脳卒中治療給付金」と区分けして分けているのも特徴だ。
給付条件のわかりやすさ
いくら保障内容が優れていても、給付条件が厳しかったり、わかりにくかったりする保険は使いにくい。
(○)急性心筋梗塞・脳卒中の給付条件が入院のみ
急性心筋梗塞・脳卒中を保障する特約は、「名前だけで受け取れない保障」と揶揄されてきた歴史がある。給付条件がど厳しいからだ。
その意味で、給付条件が「急性心筋梗塞または脳卒中で入院したとき」というのはシンプルで良い。
(×)180日以内の再入院は1回の入院になる
180日以内に再入院すると、入院の理由が前回の傷病と関係がなくても1回の入院にカウントされる。
例えば、かめ君が胃の病気で入院し、30日間で退院できたとする。しかし180日以内に、今度はまったく別の病気で35日間入院したとしよう。するとかめ君の入院は前回と合わせて65日となり、5日分の入院給付金はもらえないことになる。
これはやめてほしい。他社を見回すと、前回の入院と関わりのない傷病は別々の入院とカウントする医療保険はたくさんある。この給付条件はわかりにくいし、ユーザーのほうを向いているとも言えないだろう。
保険料
(△)保険料は比較の余地ある
ライバル他社の医療保険と比べた場合、保険料は安めとは限らない。主契約やその他の内容が異なるので完全な比較はできないが、例えばチューリッヒ生命の『終身医療プレミアムDX』と比べると次のようになった。
【条件】
入院給付金日額:5,000円
手術給付金:(楽天)2万5,000円または 10万円 / (チューリッヒ)入院中・放射線10万円、外来5万円
入院給付日数:60日
先進医療特約:あり
楽天生命 スーパー医療保険 | 1,665円 |
---|---|
チューリッヒ生命 終身医療プレミアムDX | 1,312円 |
※2020年 執筆・更新時現在
(×)先進医療特約が更新型である
先進医療特約のスペックは全社でほぼ横並びの状態だが、終身型か更新型かでは差がある。
医療保険そのものは定期型のほうが合理的だが、先進医療特約はどちらのタイプでも月に100円程度なので、だったら保険期間中、ずっと変わらないほうがよいだろう。
(○)ネット申込ができる
この保険はオンラインからでも申し込め、人件費をカットできる分、対面でしか加入できない保険より割安になっている。
インターネットで申し込むことに抵抗がある人は、アドバイザーと相談して検討するとよいだろう。選択肢が2つある点は評価する。
(○)楽天スーパーポイントが貯まる
2019年12月1日以降に所定の要件を満たして加入した場合、楽天スーパーポイントが貯まる。
ポイントは毎月1%と微量だが、楽天カード払いでさらにお得になるため、楽天ユーザーが「どこか医療保険に入っておくかー」くらいのテンションなら、優先度を高めに検討してもよいと思う。
まとめよう
- ベーシックな医療保険を求めている楽天ユーザーならありかも(最安値ではない)
- がん関連の保障内容は悪くない
- 1入院のカウントルールなんとかしろ
- 終身型なのでうさたんには不要
そうそう、8疾病(がん[悪性新生物]・心疾患・脳血管疾患・糖尿病・高血圧性疾患・肝疾患・腎疾患・すい疾患)で入院したときの支払期間を延長する「8疾病入院支払限度拡大特則」もアピールしているが、「ま、延長してくれるなら……」程度の印象だ。
理由は、現役世代なら、統合失調症等や血管性及び詳細不明の認知症、アルツハイマーを除けば、60日ほどで退院できることがほとんどだからだ。この特則を積極的に付けようとは思わない。
楽天生命の医療保険なら、断然『1095α(アルファ)』をおすすめする。
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