うさたんだ。主契約が「入院給付金」の医療保険の場合、入院しないと保険がおりないわけだから、入院日数の相場を知っておくことは大切だ。
入院してから退院するまで、どれくらいかかるのが一般的なのか? 厚生労働省が発表しているデータから読み解いてまとめてみたぞ。
平均在院日数は29.3日だが……
厚生労働省「患者調査」の最新データ(2017)を見ると、平均在院日数は29.3日だった。しかしこれは年齢も傷病もごちゃまぜにした全体の平均値なので参考にならない。
年齢別の平均在院日数
歳を取るにつれて入院日数が長引くことは予想がつくだろう。実際にその通りで、65歳以上の平均在院日数は29.9日だ(病院38.5日、一般診療所21.2日、小数第二位は四捨五入)。全体の平均値をやや上回る入院日数である。
同じ計算で、0〜14歳は5.8日、15歳〜34歳は6.6日、35歳〜64歳は15.1日だった。65歳以上がいかに平均値を押し上げているか分かるな。
- 0〜14歳:5.8日
- 15歳〜34歳:6.6日
- 35歳〜64歳:15.1日
- 65歳以上:29.9日
この数字から、医療保険の加入を検討している現役世代は、自分が入院したら退院するまで約2週間くらいかかると思ってよい。
傷病別
病気・けがの種類は入院日数に影響をおよぼす。主題は医療保険の加入を検討するにあたっての考察なので、入院が長期化する傾向にある傷病に焦点を当てるぞ。
- 統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害:平均531.8日(301.6日)
- 血管性及び詳細不明の認知症:平均349.2日(284.1日)
- アルツハイマー病:平均252.1日(143日)
精神疾患系や神経系の傷病はやはり長引いてしまう。数字は全体の平均値、( )内は35歳〜64歳までの現役世代の平均値だが、それでも半年またはそれ以上、入院する恐れがある。
他の傷病で入院が長期化する恐れがあるのは、脳血管疾患(78.2日)、慢性閉塞性肺疾患(61.5日)、結核(54.1日)、慢性腎臓病(47.9日)が目立つ。他は、平均在院日数という意味では短期間で退院できると考えてよいだろう。
累積割合では半数の人が8日以内に退院している
ここまで見てきたのは平均値。しかし平均では見えない部分も多い。そこで今度は、「推計退院患者数の構成割合」という数字に着目する。小難しい言葉が並んでいるが、要するに、「入院してその日に退院した人は◯%、2日目に退院した人は◯%」という数字を洗い出したものである。
すると、半数以上の人が8日以内に退院していることが分かった。次の数字を見てほしい。
- 1日未満:3.4%
- 2日:15.1%
- 4日:30.5%
- 8日:51.5%
- 15日:69.4%
- 20日:76.3%
- 25日:80.8%
- 30日:83.9%
- 40日:88.1%
- 50日:90.6%
確率論でいえば半分以上の人が10日以内に退院でき、8割以上の人が平均在院日数の29.9日よりも早く退院していることになる。
しかし、入院すると長引く傾向がある傷病ではどうだろうか?
傷病名 | 入院日数と累積割合 |
統合失調症 統合失調症型障害及び妄想性障害 | 30日:24.4% 50日:36.5% 3ヵ月:64.9% |
血管性及び詳細不明の認知症 | 30日:24.5% 50日:34.8% 3ヵ月:54.3% |
アルツハイマー病 | 30日:28.1% 50日:39.3% 3ヵ月:45.0% |
脳血管疾患 | 30日:89.3% 50日:93.9% 3ヵ月:95.1% |
慢性閉塞性肺疾患 | 30日:67.9% 50日:78.9% 3ヵ月:83.0% |
脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患は1ヵ月あれば退院できる可能性は高いと言えるが、先に挙げたトップ3の傷病は手強い。
結論:ほとんどの入院が1ヵ月以内に退院できる
あなたが何らかの傷病で入院し、退院するまでの期間は、運が良ければ8日以内、悪くても1ヵ月以内だと言える。ただし、めちゃくちゃ悪いと2ヵ月、3ヵ月、場合によっては1年以上かかってしまうかもしれない。
このデータを医療保険に入るかどうかの判断材料にするとき、次の考えが浮かぶ。
- ほとんどの入院は1ヵ月以内で退院できる! 高額療養費制度もあるし、1ヵ月くらいなら民間の保険に頼るほどの経済的リスクじゃない!
- いやいやいやいや。ゼロリスクでない以上、自分が大病にかかるかもしれない! 長期入院に備える医療保険があると安心!
- とりあえず、僕 / 私は貯蓄があるから医療保険はいらないです……(逆のケースしかり)
どれも成り立つだろう。ただ、最近の医療保険は、医療情勢に合わせて保障期間が短く設定してあるため、(2)の考えの人は商品探しをする必要がある。
【参考】
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