【辛口評価】東京海上日動あんしん生命の「メディカルKit R」は、アイデア力抜群のダメ保険

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「メディカルKit R」は、使わなかった保険料が戻ってくる“新しいカタチの医療保険”として脚光を浴びた商品だ。2013年には日経優秀製品・サービス賞の優秀賞も受賞している。掛け捨てを嫌う日本人の心をつかんだアイデア商品だが、うさたんの評価はすこぶる低い。

得する気分にさせておいて、実は全然得しない保険だからだ。

払い込んだ保険料の使わなかった分が戻ってきても、まったく得しない理由

まずは、この保険のしくみを簡単に解説しよう。

30歳でメディカルKit Rに加入した人の月払保険料が2,980円だったとしよう。この人が60歳や70歳など所定の年齢(ここでは70歳とする)までに入院給付金などの受け取りがなかった場合、保険料は「使っていないこと」になり、それまで払い込んだ138万7,200円(2,980円×12カ月×40年)が「健康還付給付金」という名目でリターンされる。

もし、70歳になるまでに入院や手術を受け、入院給付金などを20万円もらっていた場合は、70歳時での受け取りは、-20万円で118万7,200円になる。ここまではいいな?

インフレ考えたら全額戻ってきても損してまっせ

戻ってくるから嬉しいじゃん!と思うかもしれないが、保険会社は預かった保険料を運用してくれるわけではない。そのまんま戻ってくる。先の例で言うと、138万7,200円は40年経っても138万7,200円のままだ。

しかし、政府が2%のインフレ率をめざしているのはご存知のとおり、物価は上昇していくと考えられる。たとえ1%で推移した場合でも、100円で買えたパンが40年後には150円くらい出さないと買えない計算になるわけだから、今の100円は40年後には70円弱の価値に下がっていることになる。

138万7,200円が全額戻ってきても、実質は損しているということがご理解いただけただろうか?

このあたりをきちんと説明せず、表面的なお得感を醸し出す売り方をしている(ように私には見える)点が、この保険を評価しない理由だ。

加入者においては、これらのことを理解したうえで、それでも利用価値があると考えて加入する人を、うさたんは否定しない。しかし、「インフレのことなんて考えてもみなかったわ〜ウフフ☆」みたいな人には、「よく考えろアンタの大金が減っていくんだぞ!!」と言いたいのである。

一生涯、割高の保険料を払わされる

この保険の最大の特徴は、前述した「健康還付給付金」だ。払い込んだ保険料のうち、使わなかった分が所定の年齢になったら返ってくるのは、「健康還付特則」が付いているからである。

いわゆる「掛け捨て」ではないしくみを取り入れている関係上、保険料は保障内容にしては少々割高である。「保険料が戻ってくるメリットとのトレードオフだよ」という人もいるかもしれないが、健康還付給付金を受け取った後も保険料が変わることはない。

つまり、60歳や70歳などで健康還付給付金を受け取った後の保険料は戻ってこないのに、毎月支払う保険料の金額は「健康還付給付金あり」のままから変わらないということだ。

健康還付給付金を受け取った60歳時や70歳時点で解約すればいいのだが、病院のお世話になる確率が高まるのは60歳や70歳以降である。そんな年齢から新たな医療保険に入ろうものなら、そこそこの出費になるし、健康上の理由で入れない(審査が通らない)身体になっているかもしれない。

止めたくても止めにくい、そんなハメ技を狙っているとしか思えないのが、この保険だ。

結論:自分で貯蓄したほうがマシ

そもそも、払い込んだ保険料のうち、使わなかった分が戻ってくるのなら、自分で貯蓄しているのと何も変わらない

保険会社に預けると、途中で下ろすこともできなければ、最終的には減ってしまうことも明らかなわけだから、自分で貯蓄するなり、運用にまわして増やすほうが賢いと、うさたんは思うぞ。

ただし、前述のとおり、いろいろと理解したうえでこの保険を選ぶにはなんの問題もない。「現金確保」としてポートフォリオに入れる考え方もあるし、リターンが保障された安心感もある。そういう「気持ち」はわからないでもない。

さいごに、なんの雑誌か忘れたが、この保険について感想を聞かれた有名FPが「こんなの保険じゃない」と一刀両断してて笑えた。そういうFPさんとは気持ちよく酒が酌み交わせるってもんだ。

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