うさたんだ。
ほとんどの医療保険の主契約は「入院給付」、つまり入院したかどうかがポイントになるわけだが、判定の仕方がややこしいときがある。
誤解があると「支払われると思ってたのに……!ひどいわ!」みたいになるので、きちんと覚えておこう。
「入院5日目から給付」は4日目まで出ない
入院給付に免責期間を設けている医療保険がある。すなわち、「入院されても一定期間までは給付金を出しませんよ」という契約だ。期間は商品によって異なるが、ここでは5日目としよう。
「入院5日目から給付」という医療保険に加入している人が10日間入院した場合、給付日数は「10-4=6」日間という計算になる。入院日額5,000円なら3万円もらえるというわけだな。逆に、4日目で退院すると1円も受け取れない。OMGッッ!!
ただ、このタイプの医療保険が不親切なのかというと、そうとは言いきれない。5日未満の超短期入院は保障しない代わりに、保険料は割安になっているからだ。
最近は短期入院の割合が増えてきたため、入院初日から給付する上、保険料も抑えた医療保険が登場しているが、「5日未満の短期入院は保険の世話になるほどの出費ではない」という大前提に立ち戻ってほしい。理にかなっているのはどちらの保険か? うさたんは、免責期間ありの医療保険だと思う(とはいえ5日程度ならあまり関係ないかもだが)。
「日帰り入院」とはなんぞや
「日帰り入院から保障!」とアピールしている医療保険がある。「入院初日から」との違いがよく分からない人もいると思うが、噛み砕いて言えばこうだ。
・日帰り入院から保障! → 入院日と退院日が同じ入院でも給付金あり
・入院初日から保障!→ 入院した翌日に退院しても給付金あり
もう一つ、大切なことがある。病院側が「入院」と扱ってくれるかどうかだ。というのも、手術などの種類によっては日帰り入院ではなく、通院と区分されてしまうことがあるのだ。
それでは給付金が受け取れない。頼むぜドクター!!ということになるから、医療保険の給付を気にするなら、入院前に確認しておくといいだろう。日帰り入院の場合は、医療費の請求書に「入院基本料」と記載してくれる。
「1入院」って何語ですか
保険用語でややこしいのが、この「1入院」だ。「1入院の支払限度日数60日型」などという表記で出てくる。
1入院とは一般的に、「同じ傷病を原因とする入院から退院まで」を指す。例えば胃潰瘍で14日間入院した亀野郎が、退院後にまた胃の調子が悪くなって再び7日間入院したとしよう。亀からすれば「2回」入院したことになるが、医療保険では「前の病気が治っていないため1回の入院」とカウントされるのだ。
したがって、パンフレットなどに「1入院の支払限度日数60日型」と記載されている医療保険は、「1回の入院で60日までは支払いますよ」という商品だ。先の例では、「14日間」+「7日間」=「21日間」だから問題ないが、この合計が仮に65日間だった場合、オーバーした5日分は自腹を切ることになる。
でも180日経てば1回リセット。だけど保険会社によっては厳しい規定も
しかし、病気というのは再発の恐れを含んでいるものなので、これだと消費者にとって不利になる恐れがあるよな。
そこで、だ。亀の再入院が、1回目の退院から180日以上経過していた場合、たとえ同一の傷病でも「原因は別にある」とみなされ、「2回」入院したと認められる。1回目の入院と合わせて「110日間」入院しても、60日+60日で「120日間」まで保障されるというわけだ。これを属に180日ルールと呼ぶ。
注意したいのは、1入院の定義が保険会社によって異なることがある点だ。一般的には「同じ傷病を原因とする入院から退院まで」を指すが、180日以内の再入院は問答無用で1入院とみなす医療保険もある。
さすがに「病気」と「ケガ」は別判定にしてくれるが、同じ分類なら1入院とみなされる保険があるので、よ〜く確かめような。
さいごに:入院は日付をまたぐと加算される
医療保険のクセが強いカウントのルール、大体わかったかな? さいごに、入院日数の数え方について、映画『ジェネラル・ルージュの凱旋』よりひとネタ。
急性アルコール中毒で退院した患者が、ドクターらに請求書を突きつけてブチ切れている。
「一晩入院しただけで6万円ってなんだよ!俺は点滴1本打ってもらっただけだぞ!」
しばし請求書を眺めるドクター。そしてやや呆れたような物言いで「あ〜、だってアンタ二泊だから」。
「はぁ?!」と患者が反論すると、側にいた看護師が早口でこう説明する。
「一泊の区切りは午前12時です。あなたが運ばれてきたのは昨夜の午後11時55分ですから」
「ご、5分ぽっち感情に入れんのかよ!」と食い下がる患者だが、これ、入れるのがルールなんだよ。つまり入院日数の数え方とは、入院した日と退院した日を含めたトータルの在院日数ということになる。
「これに懲りたら飲みすぎに注意することと、何でもかんでも救急車を呼ばないことですね」と諭されて会話は終了するが、教訓しかないくだりである。