2020年12月現在も猛威を振るう新型コロナウイルス(COVID-19)。もはや我々はこの感染症と付き合っていかなければならないのかもしれないが、解せないことが一つある。この影響を受けて、生命保険の新規加入率が上がったという話だ。
【参考】「新型コロナウイルス感染症の流行による生命保険加入への影響調査」を実施(ナビナビ保険)
https://www.navinavi-hoken.com/life-entry-covid19
コロナショックに便乗して保険を勧めてくるアフィリエイターに要注意という雑記でも書いたが、コロナ禍で被った経済的リスクをカバーする保険など今のところない。コロナだからといって保険の必要性が変わるわけではないということだ。詳しく説明しよう。
生命保険は独身者やDINKSには不要
ここは医療保険用のページなので、生命保険はさらっと行くぞ。というより、生命保険については医療保険ほど言うことがないのだが。
生命保険が必要なのは、自分が死ぬと家族が路頭に迷う可能性が高い人たちだ。コロナを含む傷病の致死率とは関係がない。残された家族に稼ぐ能力があるかないかの一点で考えよう。
すると、独身者やDINKS(子供がいない夫婦)には不要なケースが多い。「うちのパートナーは専業主婦(夫)なんだけど」と反論してくる人たちもいるが、結婚前は1人で生きてきたわけだから、元の生活に戻るだけだ。
もちろん例外はある。例えば貯蓄のない親や兄弟を養っているとか、残されたパートナーにはフルタイムで働けない理由があるとか。そういった事情がある人は生命保険でリスクヘッジするとよいだろう。だけどそれ、コロナとは関係ない。
コロナのための医療保険はもっと不要
コロナが原因で死亡する確率は、日本では低めだ。しかし、死なないだけで重症化するかもしれない。重症化すると入院や通院期間が長引き、医療費がかさむ。だからこの機会に医療保険には加入しておこうか……と考えるそこのあなた。
現状、新型コロナウルスは「指定感染症」なので、医療費は公費が投入されている。経済的負担はほとんどないのだ。入院施設に空きがなく、ホテルなどに滞在する場合でも宿泊費は無料だし、食費も無料だ(リームサービス呼び放題とかじゃないよ)。
出ていくお金は、初診料だとか、入院するために必要な私物だとかで、医療保険に頼るほどの負担ではない。最終的な費用は自治体によって多少違うが、数千円〜数万円だろう。
療養中の収入減におびえる人には必要?
コロナの感染で被る治療費負担を、医療保険に加入してまで備える必要は低いことがわかった。しかし、コロナが治るまでの間は働けないので、稼ぎがなくなる、もしくは減るという不安もあるだろう。傷病手当がない自営業者は特にそうかもしれない。
そこで、コロナに感染して入院するとどれくらいで退院できるかを調べたところ、中央値は13日らしい。
【参考】コロナ入院期間の中央値は13日、20歳代が最多国立感染症研究所が積極的疫学調査の結果公表(CBnews)
https://www.cbnews.jp/news/entry/20201201184949
多く見積もって3週間、もっと悪いケースを想定して1ヵ月間の収入が途絶えたとしよう。それであなたの家計は破綻するのだろうか? するとすれば、相当ヤバい。一刻も早く生活防衛資金を貯めることをおすすめする。
生活防衛資金とは、万が一の際にいつでも自由に引き出せるお金のことだ。こちらで詳しく書いているが、できれば200万円、せめて100~150万円はあったほうがよい。フリーランスなら、なおさらだ。
生活防衛資金がなければ、コロナを含む傷病や失職で収入が途絶えたときに家計が破綻するので、それを回避するための策が必要だ。策の一つが医療保険であり、収入保障保険(所得補償保険)だろう。保険は家計を破綻させないために入るものという基本の基本を思い出そう。
さいごに
ワクチンの完成などによりコロナが収束すると、公費でまかなわれていた治療費は通常の傷病と同じ負担割合になる。
そうなったときのコロナの脅威度は、インフルエンザ程度だと想像できる。感染者を大げさに隔離する必要はなく、基本的には自宅療養で回復を目指す。
どれくらい先になるかわからないが、多くの人々の命を奪ったクソコロナが早く収束しますように。そして、不安をあおられて経済合理性のない保険に加入する人が減りますように。