うさたんだ。今日も結論から言う。「REASON」はコンセプトは良いといわれているが、細かい落とし穴が多すぎる。特にがん保障や特約の扱いに注意しろ。
アフラック「新しい形の医療保険REASON」とは?
2024年8月19日、アフラックの「EVERシンプル」が「REASON」に名称変更され、内容も大幅に改定された。これまでの「EVER」シリーズから大きくコンセプトが変わった意欲的な商品である。
日本の手厚い医療保険制度(高額療養費制度など)を考慮し、治療費関連の保障の無駄を省き、保険料を割安に設定したというコンセプトだ。
主契約は治療給付金と入院給付金(入院給付金は省くことも可能)の2本立てである。治療給付金は入院・手術・放射線治療を受けた月にもらえる仕組みだ。
基本プラン(Aプラン)に加えて、短期入院に手厚いBプランが追加された。
アフラックREASONの「辛口評価」で必ず言及したいデメリット・注意点
主契約の保障が少ない、特に外来手術
同月内に手術や放射線治療を重複して受けても、治療給付金は一月分しか受け取れない。
外来手術を受けた際の保障は2万5,000円のみで固定されており、設定金額に関わらず増えない。大きな手術でも一回分の治療給付金しか出ないのは寂しい点。
ただし、Bプランでは外来手術時の保障が治療給付金の半額に増加している。
特約の中途付加ができない
2023年9月19日以降、契約後に特約を追加で付加することができなくなった。
以前は「EVER PRIMEプラス」という特約中途付加専用の商品があったため、これは大きな弱点であり、アフラックファンからは残念な変更点とされている。
契約時に迷った特約は、将来必要になる可能性があるため、付加しておいた方が良い。
180日ルールの条件が厳しい
短期間(退院日の翌日から180日以内)での複数回入院は「1回の入院」とみなされる。
治療給付金については、「同一の病気またはケガであるかを問わず」1回の入院とみなされる。異なる病気やケガでも180日以内なら通算されてしまい、治療給付金を受け取れない場合がある。これは他社(異なる原因なら別入院)と比べて厳しい条件。
入院給付金も「同一の病気であるか否かを問わず」1入院として扱われる。他社と比較して若干気になる点。
他社では「60日以内の再入院」を同一入院とみなすことが多い中、アフラックは「180日以内」と期間がやや長い(契約者に不利)。
長期入院に不安が残る(1入院60日型固定)
REASONの入院給付金の1入院限度日数は「60日」で固定されており、120日型などは選択できない。上記の180日ルールも相まって、長期入院の際に不安が残るだろう。
三大疾病無制限入院特約や4ヶ月型を選択することで、長期入院の弱点をカバーすることは可能だが、保険料は高くなる。
先進医療特約と女性特定手術特約が10年更新型
これらの特約は10年ごとに契約が更新され、その際に保険料が見直される(上がる可能性が高い)。
他社の医療保険では、先進医療特約などが一生涯保険料が変わらない終身型が主流であり、この点はデメリット。
がんの保障が他社と比較して微妙な点がある
抗がん剤治療特約がない。がんの三大治療の一つである抗がん剤治療は通院で行われることが増えているが、これを手厚く保障する特約がないのは不安要素。他社には抗がん剤治療を受けた月に定額給付する特約があることが多い。
三大疾病一時金特約における上皮内新生物保障がデフォルトで対象外であり、特則を付加しても一時金が10%に減額される(100%も選択可能)。他社では上皮内がんも通常のがんと同じ扱いをすることが一般的。乳がんの上皮内がんの場合、通常のがん同等の治療が必要となることもあるため注意。
がんの2回目以降の三大疾病一時金給付条件が「入院」に限定されている。通院治療のみの場合は対象外となり、最近増えている通院でのがん治療実態と合わない場合がある。
三大疾病系特約の一部で血管性認知症が対象外となるケースがある
三大疾病無制限治療特約、三大疾病無制限入院特約において、脳血管疾患の一つである血管性認知症が保障対象外とされている。血管性認知症は超長期入院になる可能性もあるため、契約者にとっては注意が必要。
三大疾病保険料払込免除特約の条件が他社よりやや厳しめ
心疾患、脳血管疾患について、急性心筋梗塞や脳卒中以外は「継続10日以上の入院または手術」が条件となっており、他社の「入院または手術で即免除」と比較すると条件が厳しい。
がん・乳房再建給付金には待ち期間(3ヶ月)がある
三大疾病保険料払込免除特約と三大疾病一時金特約において、がんに限り3ヶ月の待ち期間が設定されている。乳房再建給付金にも3ヶ月の待ち期間がある。これは他社でも一般的なルールだが、念のため注意喚起が必要。
ケガの特約が1年更新で毎年査定、更新拒否の可能性あり
ケガの特約は1年更新であり、毎年アフラックの承諾が必要となる。頻繁にケガをしたり、必要以上に通院したりする場合など、更新を拒否される可能性がある。
また、契約者側から解約する際にも「2ヶ月前に通知する」というルールがあり、保険会社に都合が良い設定であると感じる点だ。
健康祝金特則は途中で解約できない、経済合理性が低い
3年ごとに健康祝い金がもらえる特則だが、これを付加すると保険料は高くなる。途中で入院などをして治療給付金を受け取ると、その3年間の特則保険料は没収される。
保険料負担に対して祝い金の利益は限定的であり、経済合理性が低い。途中で解約(特則を外す)ができないため、不要であれば最初から付加しない方が良い。というか、健康祝い金自体が基本クソだ。
アフラックREASONのメリット(うさたんはディスばかりじゃないよ!)
自由設計プランが優秀で自由度が高い
入院給付金の有無や金額、治療給付金の型(1ヶ月型/4ヶ月型)などを細かく設定できる。
入院給付金不担保特則や手術・放射線治療不担保特則を付加し、治療給付金のみにする「REASON+プラン」のような設計も可能。
三大疾病関連の保障(払い込み免除、一時金)で、上皮内新生物保障を付加するかどうか(一時金は10%か100%か)を選べる点も珍しく、自由度が高い。
上皮内新生物保障が強化された(他社に対抗)
以前の弱点だった上皮内新生物の保障が改善され、特則付加で払い込み免除や一時金の対象とできるようになった。
一時金の金額(10%か100%か)を選べるのはアフラックの強み。
女性の場合、子宮頚部の中等度異形成も上皮内新生物として保障対象に含まれる点は明確なメリットだろう。
告知が簡素化され、緩和型でも部位不担保が付かなくなった
緩和型(持病がある方向け)で申し込む場合、健康状態の詳細記入が不要になり、手続きが簡単になった。
さらに、緩和型であっても部位不担保(特定の部位を保障対象外にする条件)が原則付かなくなった。これにより、持病がある人でもその部位を含めた保障が受けられる。旧アフラック商品では部位不担保が付くのが当たり前だったため、これは大幅な改善点だ。
三大疾病の入院保障が強力になる(特約付加時)
三大疾病無制限治療特約や三大疾病無制限入院特約を付加すれば、がん・心疾患・脳血管疾患による入院が支払い限度なく保障される。
通常の入院給付金だけでなく、無制限で毎月治療給付金を受け取れるのは他社にあまり見られない。長期化しやすい脳卒中や進行がんにも対応可能な設計で、家計のダメージを最小限に抑えられる。
シンプルな保障内容であれば保険料が高くない
保障の重複を省くコンセプトにより、治療給付金メインで入院給付金を外すなど、ミニマム設計が可能。そのため、若年層~中年層にとっては保険料が割安に感じられることが多い。
中でも「REASON+プラン」のように、治療給付金のみで構成する設計なら、1,000円台〜2,000円台でそこそこの保障を組める。コスパは悪くない。
主要特約の評価(付けるべきか、不要か)
総合先進医療特約
重要度高。先進医療は治療費が数百万円かかることもあるため、これを外す理由はない。ただし、10年更新型なので将来的な保険料上昇リスクはある。覚えておけ。
三大疾病無制限入院特約
1入院60日制限をカバーできる貴重な特約。長期入院の不安があるなら絶対つけとけ。ただし、血管性認知症が対象外なのは要注意。
三大疾病無制限治療特約
同じく長期治療への備えとして有効。月ごとの治療給付金が延々ともらえる。家計のセーフティネットとして頼もしい。
三大疾病一時金特約
給付条件や上皮内新生物の扱いはやや見劣りするが、それでも一定の安心感がある。精神的安心を重視する人にはおすすめ。
女性疾病入院特約
女性特有の疾患が心配な人なら付加して損はないが、必須かと言われると微妙。出費を抑えたいなら外してもいい。
女性特定手術特約
女性特有の手術に備えるならアリ。ただし、保障内容がやや貧弱で、しかも10年更新。慎重に検討すべき。
三大疾病保険料払込免除特約
予算に余裕があれば選択肢に入れてもよい。だが、条件が他社より厳しめで、費用対効果には疑問も残る。
通院特約
保障日数が短く、実際に役立つ場面が少ない。優先度は低め。
ケガの特約
1年更新、毎年査定あり、更新拒否リスクあり。必要性はかなり薄い。
終身特約(死亡保障)
医療保険と死亡保障をまとめるのは非推奨。医療保険を解約すると死亡保障も消えるため、別契約で管理すべき。
アフラックREASONはどんな人におすすめ?どんな人には向かない?
おすすめな人
・高額療養費制度を理解し、無駄な保障を省いた合理的な保険を探している人
・主契約+三大疾病関連特約など、シンプル設計で保険料を抑えたい人
・特に20代〜50代くらいの若年〜中年層(保険料が安い)
・告知を簡素化したい人、持病があっても部位不担保を避けたい人
・短期入院でも手術をすれば月額治療給付金がもらえる設計に魅力を感じる人
向かない人
・抗がん剤など、通院でのがん治療保障を重視したい人
・上皮内新生物も満額保障したい人
・後から特約を追加したくなるかもしれない人
・保険料の将来的な値上げリスクを避けたい人
・複数回の短期入院に備えたい人(180日ルールのせいで給付対象外になる可能性)
・保険に経済合理性のない祝い金やギミックを求めている人
後悔しないためには?比較検討の重要性
アフラックREASONのコンセプトがハマる人には良いが、それが万人向けではないのも事実。他社商品と比較することは絶対条件だ。
特にがん保障に関しては、チューリッヒ生命「終身医療保険プレミアムZ」やメディケア生命「新メディフィットA」などが、通院抗がん剤治療もカバーしていて強い。自分のニーズを正確に把握したうえで、最適な選択をすることが命綱だ。
うさたんのまとめ
アフラックREASONは合理志向な設計で、一部にはベストマッチな選択肢になり得る。ただし、デメリットも多く、特にがん関連や特約の更新・追加制限、180日ルールなどは軽視できない。
よく考えて決断してほしい。