「保険営業なんて結局、相手の不安につけこむことから始まるからね〜」
先日、知り合いのFP(ファイナンシャル・プランナー)さんと飲んだときのこと。Aさんとしようか。多少の酒が入っていたとはいえ、保険を愛するAさんの口からそんな言葉が出てきたので驚いた。
Aさんは家計改善アドバイスを行う傍ら、保険販売も取り扱う「募集人」というやつで、その道30年以上のベテランだ。ご自身の仕事に誇りを持たれており、保険のことを悪く言うとわりとマジで怒る(医療保険不要論をめぐって私とバトル経験有)。
そのAさんが、「保険営業はとどのつまり擦り傷商法(※)」と認めたのだから驚いたのだ。(※かすり傷なのに大げさな薬を売りつけるような商法)
私はこのサイトを通して論じているとおり、保険を要・不要で捉え、いらないものは徹底的に排除したいと考えている。本業で保険に関わってはいるが、ご本人にとって必要のないものを必要のあるものに見せかけて売りつける商売なんざ滅びればいいと思っているくらいだ。
だからAさんの愚痴(?)を聞き、自分の思いは間違っていないと再確認したのだが……。
Aさんはこう続けた。
「保険というのは本来ね、営業なんてする必要がないほど魅力のあるものなんです」
「だって、それで大きなピンチを救うことができちゃうんだから」
「お客の方から『入れてください』と頼まれて『じゃあ審査にかけますね』という流れが正しい」
うん、これは正論だ。
ただ、それではビジネスが立ち行かなくなったので、保険会社や代理店の多くは利益拡大路線に舵を切り、えげつない営業をたくさんかけた。Aさんは、そんな腐った営業マンたちを嫌というほど見てきたそうだ。
売られる側の意識の低さにも問題があると、Aさんは指摘する。
「前任の○○さんに頼まれて仕方なく入ったんだよね〜。いま解約返戻金いくら?」
みたいな客が現れたときは、ぶっ飛ばしてやろうかと思われたそうだ。
「○○さんに頼まれたぁ?お前が自分で選んで入れてもらったんだろ!」
なるほど、それも正しい。この日のAさんの愚痴を整理すると、
- 顧客を半ばカモるようにして保険を売る奴らが蔓延している
- そんな奴らはほぼほぼクソ。本当に顧客のことを思い、その人の悩みや不安を解決できる商品を提案しろ
- それで相手が入りたいと言ったら審査。主体は保険会社にある。偉ぶってんじゃなくてそういう商品を扱っている
- 客は契約観念をもっと持て。付き合いなんかで保険に入ると自分が不幸になるだけ
酒が入って面倒くさいところもあったが、Aさんのご意見は至極まっとうだと思う。保険に加入する側からしても、こんな人なら安心して相談できるのではないだろうか。
私は、保険商品の知識はもちろん身につけたうえで、こういう真摯な人を見抜く鑑識眼も磨くべきだと思う。