うさたんだ。
今回は執筆時現在、世間を悪い意味で賑わしているJPかんぽ生命の学資保険『はじめのかんぽ』をレビューする。
結論から言うと、組織同様、検討に値しないゴミ保険という感想。さすがは「信頼と伝統の郵便局」から「悪質詐欺集団」へと昇格したJPかんぽ生命さまだな。
増えるどころか減ってしまう典型的なダメ学資保険
郵便局時代の名声もあって根強い人気を誇っているが、数年前の改定で返戻率100%以下のプランしかなくなってしまった。おわかりか? 何をどう頑張っても、払い込んだ保険料より受け取れる保険金のほうが少ないのだ。
論より証拠なので見積もってみよう。
【見積もり条件】
・親:30歳 男性
・子供:0歳 男性
・基準保険金額:300万円
・保険料払込済年齢:18歳
・1日あたりの入院保険金額:1,500円
準備コース | 月払保険料 | 保険料払込総額 | 返戻率 |
---|---|---|---|
大学入学時 | 1万4,990円 | 323万7,840円 | 92.6% |
小・中・高+大学入学時 | 1万9,460円 | 420万3,360円 | 92.7% |
大学入学時+在学中 | 1万4,940円 | 322万7,040円 | 92.9% |
ご覧のように、『はじめのかんぽ』には3つの準備コースが用意されているが、どれを選んでも元本割れしてしまう。教育資金を増やすために学資保険に入るのに、赤字になってどうする、と助走をつけてツッコみたい商品である。
医療保障を外しても元本割れする
見積もり条件を見てお気づきの人もいるだろうが、『はじめのかんぽ』には、子供の入院や手術、放射線治療などの疾病・傷害保障特約が付いている( 『その日からプラス』 )。この保険が赤字製造機になる原因がこの医療特約にあることは容易に想像できよう。
では、外して見積もったらどうなるか? この医療特約は出生後しか付加できない仕様なので、子供の年齢を「出生前」に選択。すると、シンプルな貯蓄型学資保険として返戻率を知ることができる。
【見積もり条件】
・親:30歳 男性
・子供:0歳 男性
・基準保険金額:300万円
・保険料払込済年齢:18歳
準備コース | 月払保険料 | 保険料払込総額 | 返戻率 |
---|---|---|---|
大学入学時 | 1万4,640円 | 316万2,240円 | 94.8% |
小・中・高+大学入学時 | 1万9,110円 | 412万7,760円 | 94.4% |
大学入学時+在学中 | 1万4,550円 | 312万1,200円 | 96.1% |
2%ほど上がったものの元本割れであることは変わらず、契約すると必ずお金が減るという謎の貯蓄型保険であることが証明された。換言すれば、かんぽ生命を儲けさせる商品でしかない。
結論:まったくおすすめできない
以上から、加入するメリットを一ミリも見い出せないゴミ保険だと理解いただけだろう。なぜこんなものが堂々と売られているのかわからない。
それでも、これまでは「やっぱり郵便局だから安心…」と契約する人が少なくなかったが、今回の不祥事を受けて、そんなケースも激減するだろう。よかった、よかった。
保険を理解するには少々の知識が必要だからこそ、顧客の無知に付け込む営業職員は必ず現れる。今回の不祥事で明るみになったのはこの保険ではないが、悪質詐欺集団が扱う保険など検討にすら値しない。
かんぽ生命の件は本当に頭にきているので、業務停止命令など甘ったるい処分ではなく解体が望ましい。金融庁仕事しろ。