うさたんだ。
今日は、学資保険を検討する際に必ず出てくる「返戻率の盲点」について解説したいと思う。言われてみれば簡単、でも言われなければ気がづかない、そんなエントリだ。
5秒でおさらい。返戻率とは
読んで字の如し、払い込んだ保険料の総額に対して戻ってくる、つまり受け取れる満期金のパーセンテージのことだ。
君がどこかの学資保険に入り、総額で100万円払い込んで、満期金が110万円だったとき、返戻率は110%になる。簡単な計算だ。
・返戻率(%)=受取総額÷総支払保険料×100
当然、この返戻率は高ければ高いほどいいわけだ。110%より115%、115%より120%!
普通のプランだと15年や18年間かけて払い込むところを、5年や10年の短期払にすると、保険会社はそれを元手に運用しやすくなる。結果、月々の保険料負担はアップするが、返戻率は上げてくれる仕組みだ(保険料を一括払にするとさらに上がる)。
だからみんな返戻率至上主義みたいになって返戻率を追い求めるのだが、ちょっと立ち止まって考えてほしい。
それは、返戻率には時間の概念が抜け落ちているということ。
返戻率には「利回り」と違って時間の概念がない
ノロマなカメくんが君に「100万円借してほしい」と頼み、「15年後110万円にして返すから」と約束したとしよう。そして、カメはまあノロマだが誠実な奴ではあるので、15年後きちんと10万円を乗っけて返済した。君からすれば、返戻率110%だ。
一方で、うさたんが同じ金額を君から借り、「私は素早さがウリなので1年後に返す」と約束したらどうだろうか。1年後、君は110万円を受け取ることができ、返戻率はやはり110%だ。
もうわかっただろう。同じ返戻率でも、うさたんに貸した方が思いきり得だということが。
つまり「返戻率」という言葉には時間の概念がなく、見方を変えれば”論点ずらし”な計算式だという印象も持てる。
では、元のお金に対してどれくらい増えたかを、時間の概念も含めて表す「利回り」という視点で見てみよう。最も一般的な年単位の利回りの計算式はこうだ。
・利回り(%)=利益÷総支払保険料(元本)÷払込期間×100
論より証拠なので、同じ貸し借りの条件で利回りを計算してみよう。
カメくんに貸した場合は、
・10万円(利益)÷100万円(元本)÷15(年)×100=0.6
で、利回りは0.6%ということになるが、私に貸した場合は、
・10万円(利益)÷100万円(元本)÷1(年)×100=10
10%というとんでもない利回りがはじき出される。返戻率で見れば同じ110%なのに。
返戻率と利回り、両方の視点で見ることが大切。
以上で、返戻率に踊らされてはいけないシンプルな理由がよくご理解いただけだと思う。そもそも「返戻率」というのは保険用語であって、保険以外では使用されない言葉だ。同様の金融商品の特徴を表すとき、お金のプロはこんな言葉を使って説明しない。
保険会社は、返戻率も利回りも同時も掲載すればいいと思うのだが、そんなことは絶対にしない。利回りを載せたら学資保険の貯蓄性がしょぼいことが明らかになるからだ(まあ保険なので保障が乗っかってるのだが)。
返戻率なんて数字に何の意味もない!……とまでは言わないが、私たちは時間と共に生きている以上、自分のお金が年単位でどれくらい増えるのかを考えることは大切だと、うさたんは考える。